石垣の一部が膨らみ、将来大地震が起きれば崩壊の可能性があると指摘されている弘前城本丸。
弘前城跡本丸石垣修理委員会(委員長・田中哲雄元文化庁主任文化財調査官)は23日、石垣の修理箇所を、南面と東面の長さ計約100メートルの範囲とすることを基本的に了承しました。
修理範囲がほぼ決定したことで来年度、基本設計を行う方針。約1世紀ぶりの大規模修理が本格化します。
その石垣修理には弘前城天守を移動させる必要があり、2014年から準備、2015年の弘前さくらまつり後に移動を開始。
その後発掘調査などを行った後、16年度に石垣の修理工事に入る予定です。
石垣の長さは南面が約50m、東面は約140mとなっており、南面は膨らみや稜線(リョウセン)のゆがみが見られる天守真下部分の約10メートル、東面は膨らみが大きい2カ所合わせて約90mの範囲を修理対象としました。
その間、弘前城天守は解体せず「曳屋(ひきや)」工法を使い天守の北西70mの芝生に移動させる計画です。
移動には数か月かかる予定で、コンクリート上に固定し異動後も公開します。
1611(慶長16)年に築城され、石垣修理はこれまでも数回行われていて、大規模な修理は1896(明治29)年の石垣崩壊をうけ天守を移動し実施したケースもあります。
なかなか見られない光景でもありますので、天守が移動し公開された際は、ぜひさまざまな方に見に来ていただきたいですね。